Seemingly random―サンガツ『5つのコンポジション』

5つのコンポジション

5つのコンポジション

藤岡みなみをみようとキャンパスナイトフジ視聴を目論んで数ヶ月、結局家にテレビがないまま番組終了。
それはそうと、1週間くらい前に出たサンガツ『5つのコンポジション』はすごいです。一見ランダムな音の配置と音の質感が心地いい。楽譜がいったいどうなってるんだろう。
実際に作ってる人に言わせたら「なめんな!」となるのは承知でいうと、一定のビートを刻む音楽なり映像で気分を高揚させたり「ツボ」にビシビシ入るような感覚を作るのは、じつはそこまで難しくはないと思う。
実際に映像編集ソフトを起動して、アップテンポの音楽をオーディオトラックに入れて、長めのスローモーションと16分くらいに刻んだ激しめの映像をビートに沿って交互に入れると、けっこう簡単に即席ミュージックビデオっぽいのは作れてしまうのはホント。じっさい多くのミュージックビデオがこういう映像の「拍」の取り方をしてる。もちろんフォーマットが似ていても、そこに何を入れるか・どんな意味を付与するかがお手軽即席ムービーとプロの違いを生むんだろうけど。
でもいったん拍から離れて、自由に映像を配置して、映像に付与していた意味を剥ぎ取って映像の質感だけを残すとなると、そこから先はアートの領域なんだと思う。一見ランダムに見える映像の配置から脳みそにダイレクトにインパクトがあるものを作るのって至難の業なんじゃないかなと思うわけです。
音楽にも同じことが言えるんじゃないでしょうか。拍というかパターンだけを取り出す+意味を剥ぎ取る、で作ったミニマリズムのような音楽と、似ていて真逆のような音楽なのかなという印象です。パターンの中毒性ではなくて、ランダムネスの中毒性(アルバムの中にはパターンを全面に出してる曲もあるんだけど)。いっぽうで綿密に構成されてるから、即興とも似ていて真逆。
綿密に作りこまれているのに、「一見ランダム」に聞こえる音の配置がビシビシと的確に脳みそを刺激していく音楽というのは、何か大きなものに翻弄されているような、そんな感触を受けます。そういう音楽です。